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Q&A

RI標識抗体療法について

「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」はどのような治療法ですか?
治療用放射線を標的腫瘍細胞に直接照射して抗腫瘍効果を得ることを目的とした治療法です。

「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」は、CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性NHL、MCLの患者さんを対象に、治療用放射線を標的腫瘍細胞に直接照射して抗腫瘍効果を得ることを目的とした新しい治療法です。「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」では、標的細胞であるCD20陽性のB細胞性腫瘍に放射性同位元素を集積させるため、CD20抗原に対するマウス型モノクローナル抗体であるイブリツモマブ(遺伝子組換え)と、MX-DTPA(キレート剤)を結合させた修飾抗体であるイブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)を用い、この修飾抗体にベータ線を放出する放射性同位元素である90Yを標識したイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)を投与します。なお、この標識調製は、各医療施設で実施する必要があります。

イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の直接照射による抗腫瘍効果(概念図)
RI標識抗体療法とモノクローナル抗体療法の違いは何ですか?
RI標識抗体療法は通常のモノクローナル抗体療法と異なり、標的腫瘍細胞付近の腫瘍細胞にも放射線を照射し、ダメージを与えることができます。

通常のモノクローナル抗体療法では、結合した腫瘍細胞を、補体依存性細胞傷害(CDC)や抗体依存性細胞傷害(ADCC)などの作用により、アポトーシスまたはプログラム細胞死を誘導することによって細胞死を誘導します。ただし、RI標識抗体療法とは異なり、通常のモノクローナル抗体は、それ自身が結合する細胞しか破壊せず、周囲のがん細胞を破壊しないため、巨大病変(bulkydisease)や血管形成の乏しい腫瘤性病変に対する効果は限られています。RI標識抗体療法の場合、放射線は、抗体が結合した細胞のみならず隣接する他の細胞にも照射されます。この作用によって、血管に乏しい腫瘍や付近の腫瘍細胞にも放射線を照射させることができる利点があります。ただし、標的腫瘍細胞付近の正常細胞にも傷害作用を及ぼすおそれがあります。

RI標識抗体療法は、従来の化学療法とどのように違いますか?
RI標識抗体療法は、全身性の有害事象が多くみられる従来の化学療法と異なり、他の正常細胞及び正常臓器に対する影響を最小限にすることができます。

RI標識抗体療法は、CD20抗原陽性細胞を標的とするモノクローナル抗体と放射性同位元素による内照射を組み合わせたものであるため、他の正常細胞および正常臓器に対する影響を最小限にすることができます。一方、従来の化学療法は、腫瘍細胞と正常細胞の区別なく、細胞の成長または分裂が比較的速い細胞に対する毒性を有しています。

なぜ、「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」ではCD20抗原を標的にするのですか?
RI標識抗体療法は、全身性の有害事象が多くみられる従来の化学療法と異なり、他の正常細胞及び正常臓器に対する影響を最小限にすることができます。

「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」の標的抗原となるCD20抗原は、B細胞性リンパ腫の細胞表面に発現している約35kDaの細胞膜貫通型蛋白であり、B細胞の成熟と分化に関連していると考えられています。CD20抗原は、1、他の既知の蛋白との相同性を有していない、2、成熟B細胞および大半のB細胞性リンパ腫のみに高密度で存在し、造血幹細胞、pre-pre (pro) B細胞、正常形質細胞やB細胞系以外のヒト細胞では認められない、3、B細胞性リンパ腫の90%以上とB細胞性白血病の50-90%で検出されている、4、遊離たん白質として血液中を循環することはない、5、抗体と結合した後も内在化しない、などの特性を有しています。また、CD20抗原を標的とした治療では、造血幹細胞あるいはpro B細胞を標的としないため、正常B細胞は、造血幹細胞およびpro B細胞より再び分化し増殖することができ、恒久的なB細胞の枯渇を引き起こさないと考えられています。また、形質細胞は、「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」後も生存可能であるので、免疫グロブリンが引き続き生成されます。これらのことから、CD20抗原はB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)治療のためのRI標識抗体療法の標的抗原として適切であると考えられています。

放射性同位元素イットリウム(90Y)にはどのような特徴がありますか?
物理学的半減期が64時間と比較的短いこと、高エネルギーで純粋なベータ線のみを放出することが、放射性同位元素90Yの特徴です。

放射性同位元素イットリウム(90Y)の特徴は、物理学的半減期が64時間と比較的短いこと、高エネルギーで純粋なベータ線のみを放出することです。この半減期は、マウス型モノクローナル抗体であるイブリツモマブの生物学的半減期と同じくらいで、標的細胞以外の組織への放射線照射を最小限にします。

イットリウム(90Y)から放出されるエネルギーの組織内における飛程距離は平均5.3mm(最大飛程は約11mm)であり、この距離であれば、標的細胞に効果的に放射線を照射し、隣接する腫瘍細胞を死滅させることも可能です。これは、特に、血管分布に乏しい腫瘍や、巨大病変に有効であると考えられます。イットリウム(90Y)は、放射線を放出しない非放射性ジルコニウム(90Zr)に壊変します。

イットリウム(90Y)は、131Iとは異なり、ベータ線のみを放出する放射性同位元素であり、透過力の強いガンマ線を放出しません。したがって、イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の調製または投与に際しては、ベータ線を適切に防護するとともに、ベータ線と質量の大きな物質との相互作用により発生する制動放射線を適切に防護する必要があります。

投与された放射性同位元素はどうなるのですか?
投与された後も、放射性同位元素はほとんどが体内に留まります。
また、ごく一部は投与後1週間ほどで尿中に排泄されます。

投与後も、放射性同位元素はほとんどが体内に留まります。患者さんからの放射能による周りへの影響は安全なレベルですが、医療関係者、患者さん、介護の方にはいくつかの注意事項を守っていただくことになります。イットリウム(90Y)の半減期が64時間と短いため、注意する期間は3日程度と短期間です。また、ごく一部(約7%)が投与後1週間ほど尿中に排泄されますので尿への配慮が必要です。

用法・用量について

なぜ、リツキシマブ(遺伝子組換え)をインジウム(111In)及びイットリウム(90Y)
イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の前に投与するのですか?
非標的細胞・臓器へのイブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の結合を防ぎ、腫瘍細胞に効率的に集積させるためです。

「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」では、放射性同位元素で標識されたイブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)が非標的細胞・臓器に結合するのを防止し、腫瘍細胞に効率的に集積させることを目的として、インジウム(111In)及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の投与前4時間以内にマウス−ヒトキメラ型抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(遺伝子組換え)を投与します。

海外第I相臨床試験では、非標識の抗CD20抗体を前投与することにより、イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)が標的腫瘍組織へ特異的に集積することが示されました1)

その後、海外第I/II相試験では、非標識の抗CD20抗体として、リツキシマブ(遺伝子組換え)が用いられ、その至適用量は250mg/m2であると結論されました2) 3) 4)

以降の臨床試験においても、前投与薬として、リツキシマブ(遺伝子組換え)250mg/m2が用いられ、正常臓器における推定吸収線量はいずれも許容線量上限(赤色骨髄300cGy、その他の正常臓器2000cGy)以下でした4)

イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の投与量調節を投与前血小板数で行う理由は何ですか?
投与前血小板数は、先行治療の骨髄抑制及びリンパ腫細胞の骨髄浸潤などによる骨髄予備能低下を示す指標と考えられるからです。

海外第Ⅰ/Ⅱ相試験1)にて、グレード4の血小板数減少は、投与前血小板数が150,000/mm3以上(血小板正常例)であった8例には見られませんでしたが、投与前血小板数が100,000/mm3以上150,000/mm3未満(軽度血小板減少例)であった2例ではいずれの症例にも発現しました。この結果に基づき、その後の全ての海外臨床試験は、投与前血小板数をイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の投与量調節パラメータとし、軽度血小板減少例に対する用量は血小板正常例における推奨用量の4分の3である11.1MBq/kgに減量して実施しました。これらの臨床試験の結果、軽度血小板数減少例に対する11.1MBq/kg投与、及び投与前血小板数150,000/mm3以上の患者に対する14.8MBq/kg投与により十分な有効性および安全性が確認されたため、これらの用量がイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の推奨用量と結論され、海外での承認用量となっています。

投与前血小板数は、先行治療の骨髄抑制及びリンパ腫細胞の骨髄浸潤などによる骨髄予備能低下を示す指標と考えられています2)。また、好中球数減少に対してはコロニー刺激因子(G-CSF製剤)などの投与によって血球増殖を図ることが出来るものの、血小板数減少については輸血による一時的な成分補充を行うに留まり、骨髄機能の回復が遷延する場合には繰り返して輸血を実施する必要があります。これらのことから、主な副作用が血液毒性であるイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の投与量を投与前血小板数に基づいて調節することは合理的と考えられます。

イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)
の投与が7〜9日目に行えなかった場合、投与日を延期してもよいのでしょうか?
投与を延期することは可能です。1〜2週間程度の投与の遅延では、
「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」の有効性及び安全性への顕著な影響は考えがたいと判断されます。

国内第Ⅰ/Ⅱ相試験1)(50例)において、イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与が7〜9日目の間に行えなかった患者は、4例(8.0% 、最長で18日目;各々17日目、11日目、18日目、18日目)でした。この4例のうち、原疾患進行のため死亡した1例を除く他の症例はいずれも完全奏効にいたっており、これらの症例に特異な安全性上の問題は認められませんでした。また、Murray JLら2)は、海外第Ⅱ相試験(211例)における投与延期例(20例、10〜29日目)の奏効率、グレード3以上の有害事象の発現率及びHAMA出現率は7〜9日目に投与を受けた症例と比較して問題となる差がなかったと報告しています。イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与を延期することは可能であり、1〜2週間程度の投与の遅延では「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」の有効性および安全性への顕著な影響は考え難いと判断されます。
但し発売当初は月に1回のイットリウム(90Y)輸入計画の為、翌月までの延期を行った場合の影響は判っていません。

安全性について

イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与による
二次悪性腫瘍の発現リスクはどの程度ですか?
二次悪性腫瘍の発現率は、NHL患者集団の発現率を上回るとは考え難いといえます。

イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)は再発又は難治性のNHL患者に投与されており、ほとんどの患者は、シクロホスファミドなどのアルキル化剤、ドキソルビシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤などの化学療法による治療を受けています。したがって、これらの患者集団では「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」によるAML/MDS発現リスクに加えて、化学療法に基づくリスク増加が既に含まれていると考えられます。化学療法剤による治療後10年間のAML/MDS発現率は5〜8%と報告1)されており、「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」の米国4試験2)に登録された211例の6.5年間の追跡調査における発現率5.2%(11/211例)は、これらの患者集団における「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」を実施しない場合のAML/MDS発現率と同様なレベルであると考えられます。

イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与後のAML/MDS以外の悪性腫瘍については、「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」との因果関係が完全には否定されない事例が16例に報告されています。このうち、「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」の企業主導治験(1,149例)における発現例は9例(0.8% 、95%信頼区間:0.4〜1.5%)でした。11例は「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」実施後2年以内に発現したものであり、放射線誘発癌の潜伏期間が少なくとも2年以上である3)ことを勘案すると、これらの報告例については「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」との関連性は低いと考えられます。また、「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」との因果関係が完全には否定されない16例に報告された癌種に一定の傾向は認められませんでした。NHL患者が二次性原発性腫瘍を発症するリスクは健常者の1.14倍と報告されています4)。ゼヴァリン®投与後の悪性腫瘍(AML/MDS以外)に関して、上記のような散発的な報告はNHLの患者集団で予想される発現率を上回るとは考え難いといえます。

添付文書中に、慎重投与として「骨髄のリンパ腫浸潤率が25%以上の患者」との記載がありますが、骨髄浸潤率の評価にはどのような検査法が推奨されますか?
骨髄浸潤が予測される場合には、骨髄生検標本による病理組織診により評価することが推奨されます。

骨髄浸潤の評価は、欧米では一般的に骨髄生検(2箇所)により得た標本を用いた病理組織診により行います 1)2)3)4)5)が、本邦では一般に、患者への侵襲性を考慮して、骨髄穿刺(1箇所)により得られた骨髄液塗沫標本を用いた細胞診により行われることが多いと考えられます。しかしながら、低悪性度B-NHL、特にその大部分を占めるろ胞性リンパ腫などでは、正常細胞との形態学的な識別が困難である小型の腫瘍細胞が骨髄で増加している事例がしばしば見られるため、細胞診のみでは骨髄浸潤率を過小評価する可能性があります。したがって、ゼヴァリン®による放射標識抗体療法の実施前の骨髄浸潤率の評価は、骨髄生検標本による病理組織診により評価することが推奨されます。また、骨髄生検の実施が困難な場合には、骨髄液塗沫標本による細胞診に加え、フローサイトメトリーによるk/λ比検査やクロット標本による病理組織診などを参考とすることが望ましいと考えられます。

過敏症に関する使用上の注意は何ですか?
インジウム(111In)およびイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与時には、薬物過敏反応への対処が行えるよう、解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤に加え、救急医薬品の準備が必要です。

アナフィラキシー反応やその他の過敏反応が、他の抗体投与時に報告されています。インジウム(111In)及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)はマウス由来抗体を使用しているため、これらの投与時には、薬物過敏反応への対処が即時に行えるよう解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤に加え救急医薬品の準備が必要です。なお、イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)を投与時の抗体としての投与量は、14.8MBq/kgを投与する場合、患者体重を60kgとして換算すると約0.02mg/kgとなります。また、インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)を投与する場合は、患者体重にかかわらず抗体としての投与量は1.12mgであり、同様に計算すると抗体投与量は約0.02mg/kgとなります。

インジウム(111In)及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の投与前に行われるリツキシマブ(遺伝子組換え)の投与時にはinfusion reactionを軽減させるために、リツキシマブ(遺伝子組換え)点滴静注開始30分前に解熱鎮痛剤及び抗ヒスタミン剤などの前投与を行います。なお、リツキシマブ(遺伝子組換え)の調製方法、投与方法などについては、リツキシマブ(遺伝子組換え)添付文書などをご参照下さい。

なぜインジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)による
シンチグラフィが必要なのでしょうか?
「生体内分布」を評価し、イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与後に起こりうる重度の血液毒性と正常臓器への影響の可能性を予見するためです。

インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)によるシンチグラムを撮像することにより生体内分布を評価し、イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与後に起こりうる強い骨髄抑制による重度の血液毒性と重篤な感染症を起こす可能性を予見し、患者の安全性確保を更に高めるためです。

臨床試験で用いられた用量範囲において、血液毒性と線量評価(dosimetry)の間に相関性が認められなかった1)ことから、欧州ではインジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)によるシンチグラフィを行わず、リンパ腫の骨髄浸潤率25%未満かつ投与前血小板数100,000/mm3以上の患者を適応症とするよう設定されています。しかし、欧米では2箇所の骨髄生検による病理組織診により骨髄浸潤の評価が行われているのに対し、本邦では、患者への侵襲性を考慮して、骨髄穿刺(1箇所)による細胞診により評価されることが一般的であり、形態学的に正常細胞との識別が困難な小型の腫瘍細胞が増加している患者では骨髄浸潤率を過小評価する可能性が考えられます。

国内臨床試験2)では、骨髄浸潤率が25%未満かつ投与前血小板数100,000/mm3以上の患者を対象としたものの、55例中3例にインジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の骨髄への著明な取り込みを示す「不適格生体内分布」が認められており、その内1例ではイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)が投与され強い骨髄抑制により遷延する重篤な血液毒性と重篤な感染症を発現しました。著明な骨髄への取り込み、及び肺、腎臓及び腸管などの放射線感受性が高い正常臓器に対する放射線障害のリスクを特異的にかつ確実に予見する方法はなく、インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)によるシンチグラフィによる生体内分布の予測は、患者様の安全性確保を更に高めるために必要です。

「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」実施後の再発例に対する抗がん治療に関して、どのような報告がありますか?
「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」実施後の再発例に対する次治療として化学療法を行った場合の、血液毒性の増強は確認されていません。

Ansell SMら1)は、ゼヴァリン®による放射標識抗体療法実施後に化学療法による次治療を行った58例について、本剤による治療歴のない化学療法とレトロスペクティブに比較し、グレード4の血球減少及び発熱性好中球減少の発現率並びに輸血又は入院を要する頻度が同等であることを報告しています。

「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」後、ヒト抗マウス抗体(HAMA)又はヒト抗キメラ抗体(HACA)が産生されることがありますか?
国内臨床試験においては、55例中2例(3.6%)にHAMAが検出され、そのうち1例は、ゼヴァリン®による放射標識抗体療法開始前よりHAMAが検出されていました。HACAはいずれの被験者においても検出されませんでした。

国内第Ⅰ相試験1)においては、55例中2例(3.6%)にHAMAが検出されました。うち1例は、ゼヴァリン®による放射標識抗体療法開始前よりHAMAが検出されていました。HACAはいずれの被験者においても検出されませんでした。

また、海外臨床試験(n=211)において、HAMAまたはHACAの発現は、HAMA:1.4%、HACA:0.5%の発現が報告されています2)

HAMA陽性例及びHACA陽性例での有効性・安全性に問題はありませんか?
HAMA及びHACAの発現率は低く、陽性例に対する「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」の安全性及び有効性に対する影響は認められていません。
また、HAMA/HACAの陽性/陰性にかかわらず、副作用に対する迅速な対応が行えるよう準備する必要があります。

国内第Ⅰ相試験1)において、治験薬投与後2例(3.6%)に血清中HAMAが検出されました。1例は投与前からの陽性例であり、他の1例は疾患進行による中止時検査(3週後)でのHAMA陽性でした。国内第Ⅰ相試験でHACA陽性例は認められていません。米国4試験(211例)2)では、ゼヴァリン®による放射標識抗体療法の実施後、3例(1.4%)にHAMA、1例(0.5%)にHACAが検出されました。いずれにおいてもHAMA及びHACAの発現率は低く、陽性例に対する「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」の安全性及び有効性に影響は認められませんでした。また、イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与歴がある症例で、その後のマウス由来タンパク質投与時に過敏症反応が発現した報告はありません。

投与前にHAMAが検出された患者は少数であるため、HAMA陽性例における安全性について十分な評価が行えたとは言えませんが、投与前HAMA陽性例に 「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」を実施した場合でも特別な有害事象及び腫瘍縮小効果の減弱は認められていません。加えて、一般的に、HAMA/HACAを含めヒト抗グロブリン抗体(Human Anti-Globulin Antibody:HAGA)によるアレルギー反応はまれで容易に回復する)と報告されており、これらとの関連が懸念される重大な安全性上の問題は特に報告されていません。したがって、投与前のHAMAの存在は過敏症反応の発現に関連する可能性が理論的には考えられるものの、実際にはHAMA価の安全性に関する臨床的意義は明らかではありません。一方、投与前のHAMA価が高い場合の生体内分布への影響は、インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)投与後のシンチグラフィにより十分予測可能と考えられます。

また、本剤投与後にマウスタンパク質由来の医薬品を投与する場合においても同様に、「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」によるHAMAの出現頻度は低いこと、臨床上問題となるHAMA陽性を判断するスクリーニング方法を確立することが困難であること、実際にはHAMA価の安全性に関する臨床的意義は明らかではないことから、事前のHAMA検査を推奨する根拠はないと考えられます。

HAMA/HACAの陽性/陰性にかかわらず、過敏反応などの発現について十分な注意を払い、副作用に対する迅速な対応が行えるよう準備する必要があると考えられます。

薬剤の供給、調製手順について

薬剤はどのような形態で供給されますか?
抗体溶液を含む4本のバイアルが入った小箱と放射性同位元素(111Inまたは90Y)が入った鉛容器を梱包したセットで供給されます。また、輸送には、冷所(2〜8°C)保存が必要なため保冷箱が使用されます。

薬剤は、バイアル4本の小箱と放射性同位元素(111Inまたは90Y)のセットとして提供されます。1セットは、以下の構成です。薬剤は病院からの発注を受けて海外の放射性同位元素の原料製造元へ発注、製造、空輸を経て国内で以下の構成とします。医療機関にはゼヴァリン®インジウム(111In)静注用セット、ゼヴァリン®イットリウム(90Y)静注用セットとして患者様お一人分ごとにそれぞれお届けいたします。

ゼヴァリン®インジウム(111In)静注用セット
*
本製剤はチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。製造工程において、培地成分としてヒトインスリン(遺伝子組換え)、精製カラムの充填剤としてプロテインA(遺伝子組換え)を使用している。
ゼヴァリン®イットリウム(90Y)静注用セット
*
本製剤はチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。製造工程において、培地成分としてヒトインスリン(遺伝子組換え)、精製カラムの充填剤としてプロテインA(遺伝子組換え)を使用している。
標識前のゼヴァリン®のセットは、どのように扱えばよいのでしょう?
開封して保冷箱から取り出し、標識時までに常温に戻して下さい。お届け日当日にご使用にならない場合は、保冷箱から取り出して冷蔵庫に保管して下さい。

医療機関に届いたゼヴァリン®インジウム(111In)静注用セット、ゼヴァリン®イットリウム(90Y)静注用セットは開封して保冷箱から取り出し、標識時までに常温(15℃〜 25℃)に戻して下さい。

お届け日当日にご使用にならない場合は、保冷箱から取り出して冷蔵庫(2℃〜 8℃)に保管して下さい。標識前には全てが常温になった事を確認してからご使用下さい。

標識後は、どのように保存すればよいのでしょうか?
標識調製後の注射液は、遮へいを施し、十分に管理できる安全な場所で冷蔵保存して下さい。また、誤用を防ぐため、標識調製時刻や核種を表示して下さい。

標識調製後のインジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液は使用するまで2〜8℃で冷蔵保存し、標識調製から12時間以内に使用して下さい。

標識調製後の イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液は、使用するまで2〜8℃で冷蔵保存し、標識調製から8時間以内に使用して下さい。標識調製後の注射液は、遮へいを施し、十分に管理できる安全な場所で冷蔵保存して下さい。また、誤用を防ぐため、標識調製後の注射液の標識調製時刻や核種の区別が確認できるよう表示するなど注意して下さい。

なぜ標識調製はリツキシマブ(遺伝子組換え)投与前に行うのでしょうか?
標識調製がうまくいかず再注文が必要となると、リツキシマブ(遺伝子組換え)の投与が無効となるからです。

標識調製には1〜1.5時間を要します。標識率が95%未満であった場合などは、リツキシマブ(遺伝子組換え)の投与が無効となります。リツキシマブ(遺伝子組換え)前投与に必要と考えられる時間は標識調製後注射液が安定である事から、標識調製はリツキシマブ(遺伝子組換え)投与前に行って下さい。

注射液が安定している時間はインジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液が2〜8℃で12時間、イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液が2〜8℃で8時間です。

有効性について

リツキシマブ(遺伝子組換え)不応例に対する「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」の有効性はどの程度でしょうか?
リツキシマブ(遺伝子組換え)不応のろ胞性リンパ腫に対するイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の有効性を評価するために行われた海外臨床試験では、奏効率は74% 、完全寛解率は15%でした。

リツキシマブ(遺伝子組換え)に対する抵抗性のメカニズムについては、腫瘍細胞からのCD20抗原の消失1)など、種々の原因が考察されていますが、腫瘍細胞がCD20抗原を発現している場合であっても、CD55抗原等の補体不活性化因子の発現によるcomplement-dependent cytotoxicity (CDC)の減弱2)やFcγRIIIaの多形化によるantibody-dependent cytotoxicity(ADCC)の減弱3)が原因となり、リツキシマブ(遺伝子組換え)に抵抗性を示すと考えられています。また、大きな腫瘍や血管分布の少ない腫瘍では、リツキシマブ(遺伝子組換え)が到達しにくい4)と考えられています。

イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)は、リツキシマブ(遺伝子組換え)と同様にCD20抗原をターゲットとする製剤ですが、CDCやADCCによる抗腫瘍効果に依存せず、ベータ線を標的腫瘍細胞に直接照射することにより抗腫瘍効果を発揮します。また、イットリウム(90Y)から照射されるベータ線は、イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)が結合した腫瘍細胞のみならず、近傍にある腫瘍細胞にも照射されるため、従来の抗体療法では治療が難しかった、大きな腫瘍や血管分布の少ない腫瘍などに対しても効果が期待されます4)

海外第Ⅰ/Ⅱ相試験においても、リツキシマブ(遺伝子組換え)不応例に対するイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の有効性が確認されています5)

リツキシマブ(遺伝子組換え)により奏効が得られない、又はTTP(time to progression:疾患進行までの期間)が6ヵ月以下のろ胞性リンパ腫57症例を対象として、イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)の有効性を評価する目的の海外第Ⅰ/Ⅱ相試験が実施されました。その結果、奏効率は74% 、完全奏効率は15% 、TTPの中央値は6.8ヵ月、奏効例におけるTTPの中央値は8.7ヵ月でした。なお、同一群の直近のリツキシマブ(遺伝子組換え)前治療では奏効率32% 、奏効例におけるTTPの中央値は4.0ヵ月でした。このことは 「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」が、リツキシマブ(遺伝子組換え)不応のろ胞性リンパ腫にも有効であることを示しています。また、主な毒性は血液毒性であり、グレード4の有害事象は、好中球減少35%、血小板減少9%、貧血4%でした。

リツキシマブ(遺伝子組換え)併用化学療法を既に行っている症例に対して、「ゼヴァリン®によるRI標識抗体療法」は有効ですか?
国内第Ⅱ相試験におけるリツキシマブ(遺伝子組換え)併用化学療法歴のある患者群においても腫瘍縮小効果が認められました。

国内第Ⅱ相試験1)では、再発又は難治性の低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫(CD20陽性)45症例を対象に実施されました。40例について有効性が評価され、奏効率は83% 、完全奏効率は68%でした。このうちリツキシマブ(遺伝子組換え)併用化学療法*(R-CHOP、R-COPP、CHASER、R-F、R-FND、R-EPOCH)による前治療歴を有する患者23例における奏効率は83%、完全奏効率は70%でした。PFS(progression free survival:無増悪生存期間)の中央値は9.6ヵ月でした。

このように、イットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)は、R-CHOPなどのリツキシマブ(遺伝子組換え)併用化学療法による前治療歴のある患者に対して優れた腫瘍縮小効果を有することが示されています。

*
  1. ・R-CHOP:リツキシマブ+シクロホスファミド +アドリアマイシン + ビンクリスチン+ プレドニゾロン
  2. ・R-COPP:リツキシマブ+シクロホスファミド +ビンクリスチン+ プロカルバジン+プレドニゾロン
  3. ・CHASER:シクロホスファミド + 高用量シタラビン+エトポシド+デキサメタゾン + リツキシマブ
  4. ・R-F:リツキシマブ+フルダラビン
  5. ・R-FND:リツキシマブ+フルダラビン +ミトキサントロン+デキサメタゾン
  6. ・R-EPOCH:リツキシマブ+エトポシド+ビンクリスチン + ドキソルビシン + シクロホスファミド + プレドニゾロン
患者背景別の腫瘍縮小効果はどの程度でしょうか?
年齢、低悪性度NHLのタイプにかかわらず抗腫瘍効果が得られています。

国内臨床試験における高齢者(7例、65歳以上)のうち4例が奏効し、4例とも完全奏効に達しています。海外臨床試験においても、年齢別の奏効率、TTP及びDRの解析にて65歳以上の高齢者と65歳未満の患者の間に有意な差はみられず、年齢にかかわらず抗腫瘍効果が認められています。

国内第Ⅱ相試験において、ろ胞性リンパ腫患者(33例)における奏効率及び完全奏効率はそれぞれ84.8%及び69.7%でした。海外臨床試験においても、ろ胞性リンパ腫群は高い奏効率を示しています。

マントル細胞リンパ腫(MCL)については、国内臨床試験で3例中1例が部分寛解に達し、海外臨床試験の3例に奏効例はみられませんでした。なお、MCL患者に対する臨床研究として、Oki Yら1)は、再発又は難治性のMCL患者15例に本剤を投与し、5例が奏効(奏効率33% 、いずれもCR又はCRu)したと報告しています。

ろ胞性リンパ腫及びMCL以外の組織型については、海外臨床試験では、14例のタイプA(WF分類におけるsmall lymphocytic)のうち8例が奏効しました。国内第Ⅱ相試験では、MALTリンパ腫の2例中1例(CRu)、小リンパ球性リンパ腫の1例中1例(CR)、ろ胞性リンパ腫からびまん性大細胞型リンパ腫への転換型の1例中1例(CR)に奏効がみられています。

国内臨床試験での部分集団解析において、過去の治療が1レジメンのみの患者群(14例、奏効率92.9% 、完全奏効率85.7%)及び病変の最大長径が「5cm未満」である患者群(35例、奏効率94.3% 、完全奏効率82.9%)で特に高い腫瘍縮小効果がみられました。また、最大長径7cm以上のbulky diseaseでも7例中2例が奏効し、そのうち10cm以上の病変を有する1例は完全奏効にいたっています。

[国内第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験(n= 50)における背景因子別の奏効率及び完全奏効率(IWRC)]